長女は3年ほど前から、実母のヨシさん(80歳超)を引き取って、現在、埼玉で生活しています。ヨシさんは最近物忘れがひどくなり、体調も良くないのですが、判断能力に問題はなく、また、寝たきりになってはいません。
3年より以前は、長男夫婦が北海道で共に生活して面倒を見ていました。しかしヨシさんが、段々気難しくなり、長男の嫁とうまくいかない点と、寒さが厳しい北海道より雪のない埼玉での生活という点から、長女と同居することになったのです。
ヨシさんは北海道に、A,B,Cの3箇所の土地とアパートを1棟、所有しています。これらは、いずれもヨシさんの夫の相続で取得したものです。
A土地の上には、長男名義で8年前に建て替えた家があり、ここに長男夫婦が居住しています。3年より以前は、ヨシさんも同居していました。
B土地の上には、長男が経営する会社のビル(長男名義)があります。長男の会社は、二年前に取引先が倒産してから経営が急速に悪化し、この土地・建物ともに長男の会社の借入の担保に入っていますが、債務超過状態で、経営は非常に厳しいようです。
C土地の上には、ヨシさん所有の古いアパートがあり、満室でアパートの管理状態は良好、不動産収入が年に400万円ほどあります。
長女は、結婚してからずっと埼玉で夫婦共稼ぎをして生活しており、過去に父母から土地や家を買ってもらったことなどはありません。
最近、ヨシさんは心身がかなり弱ってきており、以前に長男夫婦との生活がうまくいかなかったことも忘れ、再び、生まれ育った北海道に帰りたいと言いはじめました。長男も、それを歓迎するので早く帰ってこいと返事をしています。
ところが長女は、ヨシさんが北海道の長男夫婦の家に戻ったら、ヨシさん名義のアパートやその敷地など、担保に入ってない土地が、長男の事業のための借入に新しく担保提供されてしまうか、もしかしたら売却されてしまうかもしれないと思いました。
つまり、長男夫婦が母を引き取りたいと言うのは、善意ではなくて、母の財産が目当てではないかと、長女は案じているのです。ヨシさんは、最近、記憶力が非常に弱くなり、不動産や現金等の管理は自分では到底できないと思われます。C土地のアパートは、地元の不動産会社に以前から管理を任せていますが、その書類や収入管理は現在は長女が把握しており、家賃収入はすべてヨシさんの生活費や医療費や介護費用に当てています。